コラム

映画「館」放浪記(仮) その1

 2024年1月下旬、宮城県石巻のシアターキネマティカ(運営・石巻劇場芸術協会)で「さよなら ほやマン」を観てきました。大寒だというのに申し訳ないぐらいに天気が良かったです。

時間があったので、旧北上川沿いを河口に向かって行ってみることにしました。

(上=田代島と網地島〈あじしま=映画のロケ地〉と牡鹿半島の鮎川を結ぶフェリー。奥に見えるのは石ノ森萬画館 下=河口側からから見る旧北上川)

ただ、東日本大震災や能登半島地震のこともあったので、何かあったら右手の日和山(ひよりやま)にすぐに避難できるよう常に意識しながら歩きました。甚大な被害をもたらした同じ川とは思えないほど、この日は穏やかな水面でした。

のんびりして遅れては元も子もありません。堤防を降りて引き返します。歩くこと10分ほどでシアターキネマティカに到着しました。初めましての場所は、劇場といえどもちょっぴり緊張しますが、予約していたことを伝えて中へ。※写真撮影は許可いただいています

カフェの奥が劇場スペース。ソファは両脇も入れると20席ほどでしょうか。座り心地よく、私はクッションを抱えながら観ました。映画だけではなく、演劇や音楽などさまざまなイベントも開催しているそうです。

観終わった後はカフェで一服。親子連れの方もいらっしゃったし、上映前には近所の方がふらりとお弁当(いつもあるわけではなさそう)を買いに寄っていました。

シアターキネマティカの向かって左隣は飲食店になる予定とのこと。向かって右の駐車場の少し奥まったところにはクラフトビールのタップルームもあります。

劇場というと非日常のような空間ですが、どこか普段の生活や日常と地続きのような場でもあるように感じました。お忙しい中でお話を聞かせていただいたスタッフの皆さま、ありがとうございました。

このあと寄り道しなければ石巻駅までは徒歩12〜13分ですが、せっかくなので、川べりの「石巻げんきいちば」に寄ってお土産を購入。仙台経由で無事八戸へ戻りました。

さて肝心の映画はというと、「ホヤと涙でとっちらかったこの気持ちを誰かと語り合いたいッ」(←あくまで個人の感想)。激推しの映画です。

にしても、八戸で「さよなら ほやマン」が上映されることになろうとは!

3月21日、皆さんぜひ!

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なぜわざわざ石巻まで行ったのか。

地元でやっていないから。いえ、映画館がない(いや正確に言うと映画館がなくなってしまった)からです。大館(秋田県)でもやっていましたが、どうせ県外ならこの映画の“地元”である石巻で観たいと思ったし、何よりも、シアターキネマティカを自分の目で見たいというのがいちばんの理由でした。

シアターキネマティカのことは、たまたま見たNHKの「新日本風土記」(2022年12月放送)で知って以来、ずっと気になっていました。東日本大震災で大きな被害を受けた石巻。Uターンしてきた若い人たちが、地域の人たちを巻き込みながら、もともと布団屋だった建物を映画館に生まれ変わらせるという活動が、八戸の今後に何かヒントになるのではと思ったのです。

八戸市唯一の映画館「フォーラム八戸」が閉館してから1年あまり。気軽に家で観られる配信サービスもいいですが、やはり暗がりの中で大きなスクリーンと音響で観る映画の楽しさを味わいたくなり、この間(かん)、いくつかの市外の映画館へ足を運んできました。いつかまた地元にハコができることを強く願って、「映画『館』放浪記」を書こうと思います。不定期ですが、よろしければお付き合いください。

(T記)


シアターキネマティカ/石巻劇場芸術協会
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